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エンジン#4
[2005/05/10 01:20] ドラマ・テレビ
「エンジン」第4回。

「ぼくは、かわいそうじゃない!」

今まで、木村拓哉のドラマは見てなかった。特に興味もなかったし。キムタクが特に好きというわけでもないし。娘は「プライド」見てたけど、やっぱり興味持てなかった。だけど、何でかな、このドラマは見ちゃうんだよな。

キムタクが相手しているのが子どもだからかもしれない。

レースには勝ったのに、メカニックの方ならあいていると言われて納得のいかない次郎。部屋の入り口に「立ち入り禁止」と張り紙してこもってる。笑えるのはそれを無視してずかずかと入ってくる人々。子どもも、大人も。みんな好き勝手なこと言っていくね。マイペースだけど、地で過ごしているようだけど、本人なりに悩んでいる次郎の心の象徴が次郎の部屋なのかもしれない。

今回、次郎の部屋も、次郎の心も、ずいぶんといろんな人がずかずか出入りしたね。「頭を冷やして考えろ」と監督。「子どもの心を傷つけないでください」と鳥居先生。「なに一人でこもってんだか」と猛。「もっと私たちのことわかってくれてるのかと思った」と美冴。「レースに勝って浮かれていないでくださいね」と朋美。

そして次郎の部屋のすみの戸棚の奥に潜んでいたのは、里親候補が現れてとまどう俊太。

俊太が、次郎の部屋にいたのは、何かわかる気がする。
たぶん、自分を見下したりしないことを感じていたからなんだろうね。

「かわいそう」という言葉は、私は嫌いだ。学校の道徳の授業などで「かわいそう」という発言を引き出すとすばらしいかのように受け取られることが多いけど、私は嫌いだ。

「かわいそう」だと思う側は、「かわいそう」だと思われる側を弱者と見ている。上下関係がそこに存在する。対等じゃない。そして、そこには距離がある。「かわいそう」な存在を、「自分の立場とは関係ないできごと」という気持で見ているように思う。

子どもだって敏感だ。いや、子どもだからこそ直感的に感じ取るんだろう。「自分は、哀れまれている」と。

鳥居先生も、牧師さんも(私はこの牧師さん嫌い。私はクリスチャンだけど、こんな押しつけがましい人がキリスト教の牧師さんだなんて思われるのは非常に不本意。)「こんないい話はないんだから」と俊太のためを思っているんだろうけど、あの人たちも「かわいそう」だと思っている人たちだろうね。

施設の子どもたちは、「かわいそう」じゃないけど、「さびしい」と言って自分の気持ちを俊太にぶつけてる。はっきりと気持を言わない人たちは、俊太の思いをはかりかねていたのかな。

そんな中で俊太は次郎の部屋に逃げ込む。戸棚の奥で自分をかくまう次郎に浴びせられる様々な言葉を、じっと聞いている。
やがて扉を開けて次郎に伝える。
「ぼくは、かわいそうじゃない!」と。

そんな俊太を見て次郎はつぶやく。
「あいつ、頑張ってるよな」

そして監督を訪れて伝える。
「メカニックをやらせてください。レースを作りたいのです」

監督も、きっと次郎は終わっていないと思っているだろう。だからこそ何か期待して次郎に足りない物を教えようとしているんだろう。前回、次郎が勝ったらつまんないと思っていたけど、こういう展開ならありかな。

鳥居先生。本人なりに子どもに対して真剣で、一生懸命に考えているんだろうね。でも、だんだん朋美先生のはじめの頃とキャラが交代してきた感じ。次郎に反発を感じながらも次郎の姿を真っ直ぐに見つめている朋美先生と、反発したまま拒否している鳥居先生。その違いかな。でも、最初のキャラだと鳥居先生の方が次郎のあり方も認めてくれそうだったけど・・・朋美先生に先輩面していた時はまだ余裕があっただけかな。

子どもたち、朋美先生、だんだん自分の居場所や存在を否定されているように感じて焦りやプライドの喪失感や嫉妬心などを感じているのかも。

でも、気持ちはわかるから、瑛子さんも「ありがとう」って伝えたんだろうね。

さて、「エンジン」のあとはスーパーテレビのダウン症の翼くんのドキュメンタリーを見た。これについても「かわいそう」関連で書きたいことがあるのだけど、長くなるので続きはこちらから。↓

「かわいそう」で思うこと。

私は学校の先生だ。一番最初は「肢体不自由児養護学校」に赴任した。採用の電話が来た時、正直「え?何で?」って思った。
だって、私は中学の免許を取って、中学生とばんばん歌や合奏をして音楽をやろうと思っていたから。

でも、きっと私の心の中に「体の不自由な人はかわいそう」だという思いがあり、また「普通の中学生と音楽出来ない私はかわいそう」という思いがあったんだと思う。

それまでも私は障害を持つ人と触れあう機会は人よりも多くあった。小1の時の同級生の男の子の一人は「脳性麻痺」で体がいつも動いてしまう子だった。私の叔父は障害を持つ人の施設で働いていて、車いすや歩行器にすがって移動する人も見知っていた。

だけど、初任校ではじめて車いすを押した時に、車いすを押すことがどんなに大変かを知った。音楽の時間に、障害の重い軽いはあるけれど、みんな目をきらきらさせて大きな口を開けて声を出し、体を揺らし、思うように体を動かせない生徒は思いっきりの笑顔で楽しんでいることを感じた。

次の学校は小学校だった。音楽の専科だった。
何不自由なく体も声も思いのままのはずの「普通学校」の子どもたちは、音楽でも蚊の泣くような声で歌ったり、楽器を乱暴に扱ったり、先生の話をふざけて聞いていなかったり。

長い教職生活の中で、いろんな子どもと出会った。
「場面緘黙」の子ども。学校では一言も話さない。何人もいたけど、そして時には同級生からばかにされていた子もいたけど、その子たちがどんなにきれいな目をしていたことか。リコーダーで澄んだ音を奏でていたことか。

「ダウン症」の子ども。抜群のリズム感を持っていたり、鑑賞の授業では驚くほど鋭い気づきを披露したり。

「不登校」の子ども。優しくて細やかで人一倍努力家。

「病弱学校」の子ども。友だちと一緒に勉強できる喜びを誰よりも知っている子ども。

「特殊」だと言われ、「特殊教育」の対象とされ、「かわいそう」と言われる人たち。だけど、本当に「かわいそう」なのは誰なんだろう。「普通」って何なんだろう。群れからはずれることを嫌い、「普通」という括りの中で安心し、「特殊」な人たちの痛みも悩みも、そしてその優れたところもわからないで「かわいそう」という一言で片づけてしまう人の方がおかしいと思うのは私だけだろうか。

今日、日テレのスーパーテレビでダウン症の翼くんのドキュメンタリーを見た。

お母さんは翼くんを3人兄弟の中の一人として、他の子と全く同じに扱い、厳しくしつけ、そして愛している。そう、母親にとっては大切な息子の一人なのであって、翼くんの発達面での遅れなどは翼くんの持つ特性の1つと考えて「翼くんにあった」子育てをしているのだ。

私の息子も、いわゆる「不登校」という「普通の生活からはみ出た」子どもだ。でも、私はそれが息子なんだと思う。むしろそうやって自分の苦しさをきちんと訴えることができるようになって、そして今自分で「今日は学校に行く」と自分の状態を見て自分で判断することができるようになって成長したな、と思う。

確かに楽ではない。一緒にいるのがとてつもなく苦しくなる時もある。だけど、人を育てるのに楽なことなんてない。どんな子どもだって悩んで苦しんで、そしてそれ以上に子どもの笑顔に癒されて・・・それはどの親だって同じだと思う。

そういう親の思いをしったら、「普通じゃない」「かわいそう」なんて言葉は出てこないんじゃないかと思う。

親として、教師として、一人の人間として・・・。
軽々しく相手に対して発して欲しくない言葉だ。
いろんな人がいて当たり前、な世の中になって欲しい。
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コメント
>テレビウオッチャーさん

文字化けですか???どうしたのかなぁ。そちらからこちらにとんでみたんですが、何ともなかったんだけど、機種依存文字ですかね?

どのへんがおかしかったか教えてください。

また違う記事でもTBさせていただきましたので、同じようなことあったらすみません。

>えりんさん

スーパーテレビは同じように見ていた方多かったみたいで。
なんかいろいろ教えられました。

>小っちゃいのさん

そちらのブログでも「かわいそう」について同じことを考えているんだなあって思って私も勇気づけられました。なんだか、禁句を言っているような気がしたんですけどね。ほんとに同感です。

>ちーずさん

子どもが大人に向かって言う「かわいそう」と、同年代同士や大人が子どもに向かって言う「かわいそう」はちょっと違うなって思いました。あの里親さんが言ったセリフは私も胸が苦しくなったので、俊太くんが言った時はほんとにスッキリしました。
[2005/05/14 01:41] URL | コマちゃん [ 編集]
こんばんは。TBありがとうございました。

俊太君の叫びには考えるところがありました。
言われてみれば、子供達は誰一人
「可哀想」という言葉は言いませんでしたね。

スーパーTVは見逃してしまいました。
ドラマの方は見ていたので、残念です。
[2005/05/11 23:27] URL | ちーず [ 編集]
こんにちは
ご訪問ありがとうございました
TBかけ逃げですみません

コマちゃんさんの文を読んでたくさん考えさせられてます
深いですね
私は、ただ、感覚的に「嫌だ」と思ったことだけかいたのですが、代弁してもらったようで、うれしかったです

[2005/05/11 11:40] URL | 小っちゃいの [ 編集]
TBありがとうございました。
私もスーパーTV見ました。
子どもたちとの触れ合いがよかったです。
[2005/05/11 11:27] URL | えりん [ 編集]
テレビウオッチャーでございます
TBありがとうございました
こちらからもお返しさせい頂きますね

フォントの問題だと思うのですが文字化けしていましてところどころ記事が読めなかったりするんですが(汗)

学校の先生をされておられるようですね
かわいそうと思う事で里親を申し出たあの夫婦、しかしそれを本人に言うべき事ではないですよね
[2005/05/10 17:18] URL | tvwatcher [ 編集]
>blueangel2005さん

次郎と子どもたちの触れあい(というよりもじゃれ合い)はホントに見ていて楽しくなりますよね。
泉谷しげるさんの監督は彼にしては抑えめの演技で何だが渋くていいですね。
[2005/05/10 14:25] URL | コマちゃん [ 編集]
こんばんは
次郎も子供たちからいろんなことを学んでるんですね

スーパーテレビ見ればよかった
かわいそうと言う言葉はかなり考えさせられますね
[2005/05/10 02:31] URL | blueangel2005 [ 編集]
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