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  2006年08月  

             
息子と両親の決意
[2006/08/26 21:44] 教育・学校
「しばらく、朝は一人でゆっくり考えたいんだ」

と、息子は言った。

「そう思うのなら、それも良いのじゃないの?」

と、私は答えた。

夏休みの短い長野県で、息子の高校は今週の火曜日が始業式だった。
夏休み中は、「休み明けには早く学校に行きたい」と言っていた息子。
「それに向けて、体力つけなくちゃ」と言っていた息子。

けれども、火曜日の朝になったら表情が一変していた。

「やっぱり行くんだよね…。」

そういって、その日は私に促されて途中遅れて登校した。
けれども、翌日からの朝の表情はますます無表情になり精気がなくなっていた。

木曜日、部屋で表情なくベッドに横たわる息子に「どうした?」と聞いた時に、やっと重い口を開いて出てきた言葉が初めの言葉だった。

いいんじゃないか、と思う。
本気でそう思う。
せっかく入った高校だ。でも、
「なんで高校行きたかったの?」と聞くと「今はわからない」と答える息子。

中学の時に、学校に行かれなくなって、それでも「みんなと一緒に高校に行きたい」とか「高校に行ったら、自分も変われるのかもしれない」という気持ちがあったのだろう。

幸いにして担任の先生にも恵まれた、理解のある先生で、息子は担任に自分の気持ちを話せるようになった。

けれども、きっと想像したように自分の体が動かなかったんだろう。思ったよりも自分の気持ちも動かなかったのだろう。今、彼の心を学校に向ける要素は何もない。あるのは「単位が足りなくなってしまう」という焦りばかりで夜が全く眠れない。

このまま、無理して学校に行っていて、息子にとって、何かいいことが来るのだろうか?それは、わからない。けれども、今はただ「無理する」ことのリスクだけが大きい気がする。

高校で生活するだけがすべてではない。

「今の、あなたにとってストレス解消することは何?」そう聞くと、
「思いきり何かを壊したい」「ガラスを割ってみたい」と答える。

「それをやったら、あなたは本当に気持ちよくなる?気がすむ?」と聞くと
「うーん、手が痛かったり、壊した後悔も残るかもね」と言う。

「それじゃ、違うストレスが生まれちゃうよ。そうじゃなくて、あなたが本当にやった時に『やってよかったぁ!』と思うこと、今までになかった?」と聞くと
「そうだな、演劇だな」と答える。

彼は、ずっと演劇をやりたがっていた。
音楽も好きだ。
ただ「やりたい」という気持ちが先だって、実際にはやるところまで行かなかった。それがもし、「実際にやる」ところまでいかれたら…。

無理に高校に行くよりも、こういう生き方だってあるじゃないか、と思う。
親ばかではないけど、彼は頭はいいと思う。
だから、本当に勉強をする気になればいくらでも勉強して取り戻すことは出来ると思う。

それよりも、今、彼が学ぶべきことは、「いかに生きるか」。

彼が自分で自分の道を切り開くものであるように…そう思って彼には「拓」という字を名前につけた。今、この方法を模索する彼にとっては、高校の「机の上での勉強」は不要とは言わないが、「今必要なもの」だとも思えない。

来年の4月、どうなっているのかわからない。
でも、確実にわかることは、彼は今よりも自分の道が見えてきているのではないか、ということだ。

私は、母として彼の思いを尊重したい。甘やかすのではなく、「高校」という壁に守られたものではない自分で開いた道を造る「より厳しい道」を進ませることになるけどね…。
「見守る」ことはさらに辛くはなるだろうけどね。

彼は、きっと道を探り当てるだろうと、私は彼を信じているから。
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